分けにくい実家は子供たちで共有名義にするのが一番、ですか?

世の中に100%の確率で起こることは多くはありません。

日本が地震大国といっても全ての地域で100%の確率で地震が起こるわけではありません。

でも個人レベルでは、100%の確率で起こることがあります。それは生物には寿命があるということです。ただ、その時がいつ訪れるのかは誰にもわかりません。

だから悲観的になるのではなく、今のこの瞬間を大切にすることが充実した死に方につながっていきます。心置きなく生ききるということです。

また、病気や事故がなければ、多くの場合にあなたよりもご両親が先に旅立たれます。 

負の財産(借金)を残して逝かれる方も少なからずおられますが、家や土地、預貯金などを残して逝かれるわけです。

悲しむ間も無く、残された財産を家族で分けなくてはいけません。

財産を残してくれたことはあなたにとって嬉しいことでもある反面、この財産が原因で仲の良かった兄弟・親戚がギクシャクすることがあります。

それは、ギクシャクする理由があるからです。

思い当たることはありますか? 

きょうだいの間で、また親子の間でコミュニケーションは取っていますか。家族での何らかの行事、例えばお盆や正月に全員揃うことはありますか。

仲の良かった家族の間でも、財産の分け方で揉めることがあるのに、もし何年も会っていないとか、同居していても口も聞いたことがないなど、家族の中の風通しが悪ければ、揉めるのは必然です。

何か対策をした方がいいのかもしれないが、どこの誰に何から相談したらいいか分からない。死んだ後は、子供たちの間で話し合ってちゃんとやってくれるだろう。

そのような理由で、今ご両親が何も対策をせずに、最後の時を迎えていいという理由にはなりません。

揉めるのが嫌なので取られる対策の一つに、父が亡くなった時に不動産を共有名義にするという方法があります。

父親名義の実家が一つ。母親は高齢なので、もちろんその実家に住み続けるわけですが、名義は子供名義にしておこう、とされる方は多いです。

子供たちへの愛情に差はないので、財産は公平に分けたいと望まれる親は多いです。

仮に子供が2人いれば、預貯金は半分づつ公平に分けることができる、でも実家は一つ。分けられない、だから子どもたち全員の共有名義にしておこう。二人の子供は仲が悪いわけではないからそれが一番いい方法だと思う。

それが将来子どもたちの間で大きな争いの種になるかもしれないことに気が付かれません。

共有名義にはいくつかの問題がありますが、悪徳不動産業から無用な圧力をかけられることがあるかもしれません。

父が亡くなった後、実家には母が住んでいます。あなたは離婚して実家に戻られました。弟は結婚して都心の賃貸マンションに住んでいます。

弟が交通事故で突然亡くなりました。残されたのは奥様と子どもが2人。今までは、あなたと弟の2人の共有名義でした。弟が亡くなった後、その子どもが共有名義人となります。

あなたは今現在住み続けているからこれからも住み続けたい。共有名義人である甥と姪が母一人の生活に困っていて自分の持分の不動産を現金化したいと考えられるかもしれません。

甥姪の持分の不動産部分をあなたに買ってくれるように頼みにきました。あなたは、突然の申し出に驚き、用意できる現金もないのでその場は帰ってもらいました。

その後、何か胸騒ぎがしてあなたは不動産の登記情報を調べたところ、共有名義人が甥姪ではなく不動産業の名義に変わっていました。

甥姪の2人は自分達の持分不動産をその業者に知らない間に売却していたということです。

今のところ何も変わったことはありませんが、自分の住んでいる家の土地の一部が知らない不動産業の持分になっているとわかってから、毎日ヒヤヒヤしています。

この例以外にも、共有名義の不動産が抱えるデメリットはいくつもあります。財産の分け方を考える場合に、残されたご家族が困らないよう親が元気な間にご家族で何度も話し合われることをお勧めします。