子のいない夫婦①
私の友人にお子様のいないご夫婦がいます。
自分が死んだら妻に全て相続させたい。
彼はそんな風に言ってました。
別に彼の方が先に死ぬと決まっているわけではありませんが
平均寿命などを考えるとそうなのかなと思います。
奥さんに先立たれた初老の男性を
スーパーでよく見かけるらしく
なんとなく悲哀感を感じるようです。
そんな姿を見ると
死ぬときは妻よりも先に死にたいと思うのかもしれません。
彼のこの望み(妻に全財産)は
家族関係の条件により叶う場合と、叶わない場合があります。
いくつかの例を見ていきましょう。
まず彼のご両親がご健在の場合です。
法律では夫の財産は次のように分配します。
妻が3分の2、両親が3分の1
財産を分かりやすく9,000万円だったとすると
妻が6,000万円、両親が3,000万円。
夫が「妻に全財産を渡す」という遺言書を残していても
ご両親が「遺留分を頂戴」と言ってきたら
6分の1を渡さなければなりません。
その場合は
妻が7,500万円、両親の遺留分1,500万円。
この「遺留分」というのは、
法律的に相続人に認められている最低保証金額みたいな物です。
でも、両親が「遺留分を頂戴」と言わなければ支払わなくてもいいです。
だから生前に仲良くしておきましょうね。
実はこの遺留分を減らす方法があります。
それは
夫の生前に夫の資産を少なくするんです。
方法①「暦年贈与」の活用
毎年110万円を夫から妻に贈与する。(無税です)
方法②「おしどり贈与」の活用
夫名義の住宅を2,000万円贈与までは無税、かつ遺言書を書く
妻が約7,800万円、両親の遺留分約1,200万円
方法③「生命保険」の活用
3000万円の保険に入り、かつ遺言書を書く
妻が8,000万円(保険含む)、両親の遺留分1,000万円。
いや
両親に遺留分を1円も渡したくない
それなら養子縁組という方法もあります。
でも普通、抵抗ありますよね。
まぁ、何にしても
相続はお金の損得に惑わされてはいけません。
「木を見て森を見ず」ということわざがあるように
相続全体を俯瞰して
ご夫婦にとって最適な方法を探りましょう。
それに夫よりも妻の方が先に
亡くなられる場合もありますもんね。
次回は、ご両親が高齢のためお亡くなりになっている場合を考えましょう。
※上記にあげた活用は、それぞれにおいていくつかの条件があります。