親のために管理していたのに、なぜ兄弟から疑われるのか

高齢になった親から、

「銀行へ行くのが大変になってきたから、通帳を預かってくれないか」

と言われることがあります。

近くに住む子どもが通帳やキャッシュカードを預かり、生活費を引き出す。

病院代や介護費用を支払う。

親のためにしていることです。

ところが、相続が始まったあと、ほかの兄弟からこう言われることがあります。

「親のお金を、勝手に使っていなかった?」

世話をしてきた人にとっては、悔しい言葉です。

自分の時間を使い、親の代わりに銀行や病院へ行ってきた。

それなのに疑われる。

なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。

善意で始めた管理でも、ほかの家族には見えない

問題は、親のお金を管理したことだけではありません。

ほかの兄弟から、その中身が見えなかったことです。

毎月いくら引き出したのか。

何のために使ったのか。

親から頼まれて渡したお金なのか。

介護や生活のために必要だったお金なのか。

管理している本人には分かっていても、離れて暮らす兄弟には分かりません。

分からない期間が長くなるほど、疑いが生まれやすくなります。

家族だから、分かってくれるはず。

そう思わないでください。

お金の記憶は、人によって違います。

通帳を預かる前に確認したい4つのこと

まず、親が元気で話せるうちに、次のことを確認してください。

1つ目は、誰に管理を頼みたいのか。

2つ目は、何のために通帳を預けるのか。

3つ目は、どこまで家族に知らせるのか。

4つ目は、使ったお金をどう記録するのか。

難しい書類を作らなくても構いません。

例えば、ノートに次のように書くだけでも違います。

「8月5日 3万円引き出し」
「病院代8,000円、薬代3,000円、食費1万2,000円、残金7,000円」

領収書があるものは、月ごとに封筒へ入れておく。

現金を親へ渡したときは、その金額も書いておく。

そして、数か月に一度、兄弟へ簡単に伝える。

これだけでも、管理している人を守ることにつながります。

全員で管理しなくてもいい。でも、見えるようにする

兄弟全員が通帳を持つことはできません。

全員が毎回、支払いを確認するのも現実的ではありません。

管理する人は、一人でも構いません。

ただし、その人だけにしか分からない状態にしないことです。

誰が管理しているのか。

どの口座を預かっているのか。

毎月、どのような支払いがあるのか。

大きなお金を動かすときは、誰に伝えるのか。

このあたりを家族で共有しておくと、あとで説明しやすくなります。

これは、管理される親のためだけではありません。

実際に世話をしている人を守るためでもあります。

「預かった」と「もらった」は違います

親から、

「いつも世話になっているから、これを使っていい」

と言われることもあるでしょう。

けれども、親子の間だけの口約束は、あとになって説明が難しくなります。

生活費として預かったお金なのか。

立て替えた費用を返してもらったのか。

親からもらったお金なのか。

管理している本人は覚えていても、親が亡くなったあと、その説明をしてくれる人はいません。

親からまとまったお金を受け取る場合は、少なくとも日付、金額、理由を残してください。

金額が大きい場合は、専門家へ確認した方が安心です。

親が元気な今だからできること

親の判断する力が低下してからでは、預金の払い出しについて、金融機関ごとに個別の確認が必要になる場合があります。

全国銀行協会も、本人の意思確認が難しい場合の取引は、状況によって対応が異なると案内しています。全国銀行協会の案内

だからこそ、親が元気なうちに、

「もし銀行へ行けなくなったら、誰に頼みたい?」

と聞いてみてください。

通帳を預けることだけが準備ではありません。

誰に頼むのか。

ほかの家族へ、どのように伝えるのか。

使ったお金を、どのように残すのか。

そこまで決めて、初めて安心して任せられます。

親のお金を管理することは、単なる銀行手続きではありません。

家族の信頼を守ることです。

親のために動いた人が、あとになって疑われないように。

できれば、親が元気で話し合える今、家族で決めておいてほしいと思います。

あなたのご家族の場合は、何から確認すればよいでしょうか。

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