お父さん、何で遺言書を書いておいてくれなかったの?
お父さんが遺言書を書かずに死んだらどうなる?
お父さんに遺言書を書いておいてほしい、なんて今まで考えたことなかったあなた。
でも
お父さんも80歳を過ぎたし、いくら人生100年時代と言われたって、そろそろ平均寿命だし、いつ亡くなってもおかしくはない。
そんな年齢なんですよね。
とにかくあなたが望むのは、亡くなったあとに兄弟でもめるようなことにだけは避けたい。
ですよね。
お父さんの立場になってみましょう。
あなたのお父さんだって、自分が亡くなったあとに天国から子どもたちが自分の財産分けでもめている姿なんて見たくないはずです。
でもお父さんもそのために何をしておけばいいのか、分かっておられないだけかもしれません。
家族みんなで集まって家族会議をするにしたって、何をどんな風に話し合えばいいか困ると思うんですね。
比較的楽とは言いませんが、とっつきやすいのが遺言書かもしれません。
でもその遺言書を書くのも面倒くさい。
そりゃぁそうですよね。
明日、死ぬわけでもないし(現実には、2024年交通事故で2,663人の方が亡くなっています、突然にです)
あと10年生きたら財産の額は変わるわけだし、今、分け方を書いたって意味ないじゃん。
今、書くか書かないかはお父さんにお任せするしかないのですが、遺言書を書かずにお父さんが亡くなったらどうなるか。
考えてみましょう。
相続人(相続財産をもらう権利のある人)の間で話し合いで分け方を決めることになります。
多くの場合に、あなたとご兄弟です。
もちろんお母さんもね。
話し合いにはルールがあります。
それは、相続人全員が同意するということです。
全員が一同に揃わなければ、集まった人たちで決めて、後でその結果に承認してもらうということでも構いません。
でも、内容によっては承認してもらえない場合もあるので全員が集まることが望ましいです。
全員が集まるために
注意点1:行方不明の方、連絡先が不明な方がおられたら今のうちに探してくださいね。
注意点2:海外単身赴任、国際結婚、海外移住などですぐに集まれない人がいる場合(130万人以上)。
帰国できる人は帰国してもらってください(お金も時間もかかるけど)。
できない時は、決定した内容を書いた協議書を送ってその国の日本大使館で「サイン証明書」を頼んだり、とにかく色々大変。
注意点3:未成年者の場合には、代理人を立てます。
通常は親権者ですが、親も相続人の場合は代理人になれません。
代理人になれるのは、相続人以外の人です。
親戚のオッチャンでもいいですが、相続財産の分け方を公平に見ることができる人がいいですね。
適当な人が見つからなければ、家庭裁判所で「特別代理人」を選んでもらいます。
でも赤の他人が話し合いに参加するって、いやじゃないですか。
その上、ほとんどの場合に法定相続通りに分けざるを得なくなる可能性が高くなります。
注意点4:離婚した前妻との子供が未成年の場合、その子の親権者である前妻は話し合いに参加することになります。前妻と今の妻(あなたのお母さん)とのバトルの可能性を考えると目を覆いたくなります。
注意点5:隠し子がいる場合。亡くなったお父さんの戸籍を調べたら判明します。
どこに住んでいるのか調べて会わなきゃしゃぁない。
そんなことよりも信じていたお父さんにそんな愛人がいたなんて!(人ごとではないかも)
注意点6:お父さんと喧嘩して、家を飛び出したお兄ちゃんはいませんか。
居場所が分かっていても、来てくれるかどうか。
ここに上げた注意点が当てはまらないかもしれません。
でも、お父さんが考えている以上にややこしくなるのが相続なんです。
遺言書を書いてくれてさえいれば、もめずに済んだのにね。
なんてグチを後々言わないでもいいようにしたいですね。
この記事を書いた人
たつみ相続相談オフィス/たつみひろし